お知らせ・コラム

お知らせ・コラム

小動物の病気

2023.02.01

うさぎの消化管うっ滞と腸閉塞

うさぎの消化管うっ滞とは

うさぎの消化管疾患の中で、うっ滞はとても多くみられる疾患です。

うさぎは常に食事を取り、通常、消化管も常に動いている状態ですが、消化管の動きが悪くなり、うっ滞を起こすと、食欲が低下し、便も少なくなります。この状態が長期に続くと最終的には完全に消化管運動が停止し、全く食事を取らなくなり、排便も停止してしまいます。

また、同じような症状ですが、異物などで消化管閉塞を起こしている場合には胃拡張が見られ、苦しそうにうずくまったり、痛みから歯ぎしりをしたり、最終的にはぐったり動かなくなるなど、急速に状態が悪くなり、治療をしないと亡くなってしまいます。

うさぎの消化管うっ滞の診断

診断は触診やレントゲン検査などで診断し、血液検査で病状を確認をします。

 

消化管うっ滞の治療

初期や軽度の状態で、比較的元気があり、多少食事を取ることができる状態の場合、輸液療法や消化管蠕動促進剤などの内科的な治療を中心に行います。予防としては、主な食事を牧草にしていただき、ペレットやおやつなどはかなり少なめにしていただくことです。

消化管閉塞を起こし、急激に状態が悪くなっている場合は、一刻も早く外科的な治療が必要になります。急激に胃が拡張し、胃が破裂したり、異物が詰まり腸が壊死してしまっているような場合は予後が悪いです。

 

うさぎの腸閉塞の症例

(胃がパンパンに張り、消化管の一部が壊死寸前です(青矢印))

写真は、朝から食事を取らず、排便もなく、うずくまって元気がないということで来院されたネザーランドのうさぎさんの胃です。

触診で胃の拡張が確認され、カテーテルで胃のガスや貯留液を除去したものの全く回復しなかったため、その日のうちに緊急手術を行いました。

胃の粘膜の色は悪く、幽門近くの十二指腸に異物が発見されました。異物が詰まってた場所の腸は赤く炎症を起こし、もう少し遅かったら壊死していたであろうという状態でした。胃を切開し内容物を摘出し、無事に手術は終わりました。詰まっていたものは8mmくらいの食べ物の塊のようなものでした。翌日には食事を取るようになり、退院され、現在は元気に過ごしています。

↑摘出した異物

このように小さなものでも詰まってしまいます。過去には、ニンジンの欠片やコーンの欠片のようなものが詰まっていたこともありました。

うさぎの食欲不振はとてもよく見られる症状ですが、原因によっては命にかかわります。様子がおかしいと思った時には、早めに受診されることをお勧めします。

愛知郡東郷町なぐら動物病院  獣医師 名倉美智子