猫の診療・予防

猫の診療・予防

猫の診療

なぐら動物病院は、猫の診療において、猫に優しい診察を行っております。isfm(国際猫医学会)によって確立された国際基準の規格に認定された動物病院に与えられる「キャットフレンドークリニック」のゴールドに認定され、猫専用の待合室、診察室、入院室、処置スペースを設け、診察・治療において少しでもストレスが少なくなるように配慮しています。

猫は、品種によって発症しやすい病気があったり、環境の変化などでストレスを感じやすい繊細な動物です。治療に際し、家での様子や猫の性格などをご家族にお聞きしながら、負担の少ない医療のご提供を心がけています。また、長年、猫の繁殖に従事していた獣医師がおり、病気のことのみならず、出産、子猫の育て方、病気の予防など総合的にアドバイスすることができます。
中には、ほとんど症状が出ないまま突然死してしまうような重大な病気もあるため、軽い症状でもお気軽にご相談ください。

泌尿器疾患

腎不全

高齢の猫に発症例が多い腎不全は、遺伝的要因、細菌やウイルスの感染、外傷、薬の中毒など様々な原因で発症し、死亡率の高い病気です。腎不全は、治療によって進行を遅らせることはできますが、回復が難しく、早期発見、早期治療がとても重要となります。定期的な点滴や薬の投与、食事療法などが主な治療となります。

  • 食欲がない
  • 体重が減った
  • 多飲多尿になった
  • 嘔吐する
尿石症

若い猫から高齢の猫まで幅広くかかりやすい尿石症は、結石ができて尿管や尿道を閉塞させてしまい、急性腎不全を呈し、命を落とすこともあるとても怖い病気です。個々の体質や食事内容が原因で発症します。主に食事療法や薬の投薬で治療しますが、結石が尿管や尿道を閉塞させてしまった場合は、外科手術を行って結石を除去する必要があります。

  • 尿が出づらくなった
  • 血尿が出る
  • 頻尿になった
  • トイレに籠るようになった
  • 嘔吐などの消化器不全

循環器疾患

メインクーンやアメリカンショートヘアー、ラグドール、ペルシャなどに多く見られる心臓病として、左心室壁や心室中隔の心筋が肥大化することで循環不全を起こす肥大型心筋症が挙げられます。日本では雑種猫でも多く見られ、分類不能な心臓病なども見られます。無症状の場合や心雑音が聴取できない場合もあるため発症に気が付きにくく、定期的に精密な健康診断を行うことが大切となります。

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • 遊ぼうとしなくなった
  • 呼吸しづらそうにしている
  • 後ろ足が動かなくなった

皮膚疾患

猫の皮膚疾患として、皮膚や毛穴に細菌が感染することで発症する膿皮症や、ストレスにより過剰なグルーミングなどを行ってしまう心因性皮膚症、副腎やホルモン疾患などによる毛周期停止脱毛症、食物アレルギー、脂漏症などが挙げられます。薬の投与や食事指導など、ペットの性格や生活環境などに応じて治療を行います。

  • 肌に出来物がある
  • 身体をよく掻いている
  • フケが出る
  • 普段より抜け毛が多い
  • 肌がベタついている

内分泌疾患

中高齢の猫に多く見られる内分泌疾患として、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される甲状腺機能亢進症や肥満気味の子が発症しやすい糖尿病、まれに副腎機能亢進症などが挙げられます。多くの場合、投薬や食事療法などで治療し、状態を維持します。食欲があって一見元気に見える場合も多いため、定期的な検査を行うことが大切です。

  • 食欲があるのに痩せてきた
  • 突然、攻撃的になった
  • 毛が薄くなる
  • 皮膚が黒ずんでいる
  • 貧血がある
  • 嘔吐・下痢をする

腫瘍

体内のリンパ節が腫れるリンパ腫や、乳腺にしこりができる乳腺腫瘍など、身体に腫瘍ができてしまった場合は、外科手術で患部を切除したり、抗がん剤の投与などにより治療します。高齢になると発症しやすい傾向にあり、小さい腫瘍でも放置すると他の臓器に転移する可能性があります。肺や腹腔内にできた腫瘍は発見しにくく、症状が出た時にはすでに進行していることもあるため、定期的に検査することが大切です。

  • 身体にしこりがある
  • 食欲が落ちた
  • 疲れやすくなった
  • 寝ている時間が長くなった
  • 嘔吐・下痢をする
  • お腹が出てきた

その他

なぐら動物病院では、呼吸器科や整形外科、歯科、泌尿・生殖器科など、その他にも様々な疾患を診察することができます。早期発見することで、ペットに負担なく治療することができますので、些細なことでもお気軽にご相談ください。

猫の病気

避妊・去勢

猫は、発情時にマーキングが増え、大きな鳴き声を出し続けたり、脱走してしまうことがあります。また、女の子は、高齢になると生殖器の病気を発症する可能性が高い傾向にあります。
避妊・去勢することで、生殖器系の病気の予防や発情によるストレスを予防することができるため、繁殖の予定がない場合は、発情前までに避妊・去勢することをおすすめします。また、男の子の異所性睾丸の場合は、高齢になってから腫瘍化するリスクが高いため、必ず手術を行いましょう。繁殖を予定している場合も、繁殖の引退後はなるべく早く手術することをおすすめします。
なぐら動物病院は、血管シーリングシステムを使用し、縫合糸を腹腔内に残さない手術を心がけています。縫合糸反応性肉芽腫の発生リスクを軽減でき、より安心して手術を受けることができます。

避妊のメリット 避妊のデメリット
女の子
  • 子宮や卵巣の病気の予防
  • 乳腺腫瘍の発症の抑制
  • 外陰部の腫れのストレスが軽減
  • トイレ以外の場所での排泄の軽減
  • 発情時の鳴き声の軽減
  • 発情時の脱走の予防
  • 代謝が悪くなる
  • 食欲が増して太りやすくなる
  • 子孫が残せない
男の子
  • マーキング行為や尿臭の軽減
  • 発情によるストレスが軽減
  • 食欲のムラがなくなる
  • 発情時の鳴き声の軽減
  • 発情時の脱走の予防
  • 代謝が悪くなる
  • 食欲が増して太りやすくなる
  • 子孫が残せない

手術時期

手術の適正時期は、猫の品種や雄雌、生活環境などによって異なりますが、初回発情前である生後6〜10ヶ月頃に行うことをおすすめしています。成長のスピードは個体差があるため、お早めにご相談ください。

手術当日の流れ

step 01
ご予約

事前に全身の状態を確認するため、事前診察をお願いします。高齢の場合や持病持ちの場合は、事前の精密検査が必要な場合があります。事前診察後に手術のご予約をお取りします。捕まらないなどで事前のご来院が難しい場合は、お電話にてお問い合わせください。

step 02
手術前

手術当日の朝は、絶食絶飲の状態でペットをお連れください。午前中に体調の確認と血液検査を行い、異常がなければ手術を開始します。

step 03
手術中

静脈点滴・気道確保・人工呼吸器の設置・麻酔モニターにより、麻酔濃度や酸素飽和度、心電図等を確認しながら、手術を行います。電気メスや血管シーリングシステムを使用し、出血が少なく、短時間で手術を行うことができます。

吸収糸での手術

別途料金で、抜糸の必要がない吸収糸を使用して手術することも可能です。吸収糸を使用することで、糸が体外に出ることがなく、ペットが傷口を気にしにくくなります。

step 04
手術後

手術後は、麻酔の覚醒状態をしっかり観察して問題がないことを確認し、痛み止めを投与してペットを安静な状態でお預かりします。
基本的には、夕方6時以降にお迎えいただきますが、ご自宅に同居ペットがいる場合や、術後の管理が不安な場合は、1泊していただくことが可能です。

猫の予防

猫のワクチン

子猫は、生後8週間が経過後に初回のワクチンを接種し、その後3〜4週間後に2回目のワクチンを接種することが一般的です。その後は1年ごとに接種します。
接種するワクチンの種類は、完全室内飼いの場合や外猫との接触の心配がある場合など生活環境、体質などを考慮して提案します。

ワクチンで予防できる病気
  • 猫ウイルス性鼻気管炎
  • 猫カリシウイルス感染症
  • 猫汎白血球減少症
  • 猫白血病ウイルス感染症
  • 猫クラミジア感染症
  • 猫エイズウイルス感染症
ワクチン接種の注意点

ワクチン接種により稀にアレルギー反応を起こす場合があります。顔や注射部位が腫れたり、嘔吐や発熱がある場合は、すぐにご連絡ください。アレルギー反応は、接種後30分〜半日以内の発生率が高いため、ワクチン接種は午前中のご予約をおすすめします。特に初めてのワクチン接種や2回目接種の場合は、早めの時間にご予約ください。

フィラリア予防

フィラリアは犬に感染することが多い感染症ですが、猫も感染する可能性があります。
フィラリアは白いそうめん状の寄生虫で、フィラリア幼虫を持つ蚊に吸血されると感染します。フィラリアに感染すると皮下や筋肉中で成長して血管から心臓などに寄生し、心臓が小さい猫は1匹のフィフラリアが寄生するだけでも突然死してしまう場合があります。
蚊に刺されないよう対策することは不可能なため、感染して間もないフィフラリア幼虫を駆除する薬を蚊が発生するシーズンに投与して予防します。経口タイプや皮膚に薬液を垂らすタイプなど様々な種類の予防薬があるため、個々に応じてご提案します。

ノミ・ダニ予防

ノミ・ダニは、人や他のペットが室内に持ち込むことがあるため、室内飼いの猫でも感染を完全に防ぐことはできません。ノミ・ダニに寄生されると、皮膚疾患の原因となるだけでなく、赤血球寄生虫の感染によって貧血や発熱などの症状を引き起こすため、駆除薬を投与して予防を行います。
近年では、ダニの媒介により人が「重症発熱性血小板減少症候群(SFTS)」の死亡例もあり、人獣共通感染症の一つに挙げられており、人への影響も考慮してすることが大切です。

予防応援プログラム

混合ワクチン接種、フィラリア、ノミ・マダニ予防を当院で1年間しっかり行っていただいた子は、病気やケガでの入院の際に、入院費が半額(治療費は除く)になります。このプログラムはワクチン接種や予防薬の購入により自動的に適応されます。詳しい内容はご来院時やお電話、メールフォームよりお問い合わせください。

マイクロチップ

ペットの迷子対策や、災害時にはぐれてしまった場合の対策として、マイクロチップの装着をおすすめします。マイクロチップは、約2mm×12mmの大きさで、日本獣医師会に登録した個体識別番号を読み込むことにより、ご家族の連絡先を特定することができます。
最近では、マイクロチップ装着の義務化に伴い、子犬・子猫の購入時にすでに装着している場合が多いですが、保護した子などで装着していない場合は早めに装着することをおすすめします。
また、万一の時のために、情報の読み込みが正しく行えることを定期的に確認することが大切です。