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2026.09.02

猫の乳腺腫瘍について

猫の乳腺腫瘍ってなに?

猫の乳腺腫瘍は、猫の乳腺に発生する腫瘍で、猫に発生する腫瘍の中で3番目に多く、約17%を占めています。高齢の女の子での発生が多く、発症平均年齢は10~12歳と言われています。犬と同様に性ホルモンが乳腺腫瘍の発生に関与しており、避妊手術をした猫よりも避妊手術をしていない猫の方が乳腺腫瘍の発生率が約7倍高いことが知られています。

そして、犬に発生する乳腺腫瘍と大きく異なる点は、猫の乳腺腫瘍の約80%以上が悪性という点です。発見された段階ですでに複数の乳腺腫瘍がある場合も少なくなく、すでにリンパ節や肺に転移が起きてしまっていることもあります。そのため、猫の乳腺腫瘍は、早期発見・早期治療することが重要です。

猫の乳腺腫瘍はどんな症状?

猫の乳腺腫瘍の多くの場合は無症状で、お腹を触っているときに偶発的に発見されることが多いです。腫瘍が大きくなってきたり、気にして舐めてしまうと自潰してしまい、出血や滲出液が出ることがあります。また、進行した症例では肺に転移を起こして呼吸が苦しくなったり、元気や食欲がなくなることもあります。

猫の乳腺腫瘍はどうやって診断するの?

猫の乳腺腫瘍は、触診で乳腺に腫瘤があることを確認した上で、細胞診検査を行うことで診断します。乳腺腫瘍と診断された後は、胸部レントゲン検査や超音波検査などの画像検査を用いて、腫瘍の病期分類(ステージ分類)を行います。 病期分類(ステージ分類)は、治療方針や予後を決定するために重要になっています。

表:猫の乳腺腫瘍の病期分類(ステージ分類)

猫の乳腺腫瘍はどうやって治療するの?

外科治療

猫の乳腺腫瘍の治療は、転移が認められない場合は外科手術が第一選択になります。猫の乳腺腫瘍の多くは悪性のため、腫瘍だけを切除するだけでは高い確率で再発したり、他の乳腺に新しい腫瘍ができてしまいます。そのため、猫の乳腺腫瘍では、腫瘍のある側の乳腺をすべてを切除する「片側乳腺全切除術」や左右の乳腺をすべてを切除する「両側乳腺全切除」が推奨されています。「両側乳腺全切除」では、左右の乳腺を一度に切除すると合併症の発生率が高くなるので、2回に分けて切除することが多いです。また、猫の乳腺腫瘍は近くのリンパ節に転移することも多いため、外科手術では同時に領域リンパ節(腋窩リンパ節や鼠径リンパ節)も切除します。すでに転移を起こしている場合には、根治は難しいですが症状を緩和させるために、部分的に腫瘍を切除することもあります。

  

当院で実施した片側乳腺全切除術(左:手術前 右:手術後)

内科療法

ステージⅢの場合には、外科手術のみでは治療が不十分な場合が多いため、術後の補助治療として化学療法(抗がん剤治療)の併用を検討します。ステージⅣの場合や、手術が困難な場合には、痛みの緩和や腫瘍の進行を遅らせるために抗がん剤などを用いた緩和療法を行います。

猫の乳腺腫瘍は予防できるの?

猫の乳腺腫瘍の発生には、性ホルモンの関連が知られているため、早期に避妊手術をすることで乳腺腫瘍の発生率を低下させることができます。避妊手術の実施時期によって乳腺腫瘍の発生率は変化し、6ヶ月齢以下の手術で91%、7~12ヶ月齢では86%、1~2歳齢で11%、乳腺腫瘍の発生率が低下することが知られています。2歳齢以降の手術では、乳腺腫瘍の発生率に変化はないと言われています。

まとめ

猫の乳腺腫瘍は、約8割が悪性で命に関わる病気です。発見された段階ですでに進行してしまっているケースも少なくないため、早期に発見し早期に治療を開始することが重要になります。避妊手術を行っていても完全に予防できるわけではないので、日頃からお家で猫とスキンシップを取り、しこりができていないかを確認することが大切です。また、猫の乳腺腫瘍は高齢での発生が多いため、高齢の猫では定期的に健康診断を行うことが乳腺腫瘍だけでなく、その他の病気の発見につながります。健康で長く生活するためにも、日頃から気をつけましょう。

猫の乳腺腫瘍を予防したい方、猫の乳腺腫瘍が心配な方は、愛知県名古屋市近郊の「なぐら動物病院」までご相談ください。

獣医師 八竹直哉