お知らせ・コラム

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猫の病気

2022.11.18

猫の下痢(直腸脱)

猫の下痢の原因

下痢の原因はとても様々あります。感染(細菌・ウイルス・寄生虫など)、食物アレルギー、腫瘍、免疫的な反応によるものに加え、ストレスや膵炎などでも下痢を起こします。

猫の下痢の症状や検査

下痢が一過性であれば、食事を控えめにして腸を休め、皮下補液や整腸剤などの服用ですぐに良くなります。しかし、良くなったり悪くなったりを長期に繰り返し、だんだん痩せてきた場合などは、きちんと検査を行うことが大切です。

厄介なことに、たまに下痢をするけれど、すぐに良くなり、痩せてきても食欲旺盛で元気がある子もいるため、かなり痩せて状態が悪くなるまでご来院されない場合があります。原因によっては、長期にわたる下痢は命にかかわることがあるため、手遅れになる前に、早めに検査、治療を行うことが大切です。

検査は糞便検査、血液検査、超音波検査が基本となりますが、それらで特定できない場合は内視鏡検査が必要となることもあります。

猫の慢性下痢により起こる直腸脱

長期にわたる下痢は、脱腸を起こしてしまうこともあります。

写真は生後2~3週間くらい体重250gの小さな子猫です。脱腸してしまったとのことで、ご来院されました。

前日に他院で縫合してもらったそうですが、また脱腸してしまったとのことでした。脱腸した腸は色が悪く、壊死し始めています。このままの状態ですと、子猫の命も危険なため、すぐに壊死した直腸の切除手術を行いました。

切除後は状態も安定し、小さな子猫でしたが頑張ってくれました。

直腸脱は痛みを伴い、全身状態が悪くなってしまうため、早急に手当てをする必要があります。

慢性的な下痢が続く場合は、原因が特定できるまで、様々な検査が必要となり、時間も費用も掛かってしまいますが、状態が悪くなる前に検査や治療を進めることをお勧めします。

 

愛知郡東郷町なぐら動物病院 獣医師 名倉美智子