お知らせ・コラム

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犬の病気

2024.09.25

犬の永久歯の埋伏歯による含歯性嚢胞

犬の含歯性嚢胞とは

犬の歯は人と同じく、乳歯から永久歯に生え変わります。

生え変わる際に、永久歯が萌出されずに歯茎の下に埋もれてしまうことがあり、その埋もれた歯が原因となり、歯茎に嚢胞を形成してしまう病気を含歯性嚢胞といいます。

特に小型犬やボクサー、ブルドックで多い病気で、若齢で発生(特に5歳以下)する傾向があります。

犬の含歯性嚢胞の症状

通常は無症状であることが多く、本来歯があるはずの場所に軟らかい歯肉の腫れが起こります。含歯性嚢胞が感染を伴った場合は痛みが出ることもあります。

犬の含歯性嚢胞の診断

身体検査で歯の萌出の有無をチェックし、麻酔下で口腔内専用レントゲンを使用し埋伏歯の確認をします。摘出した嚢胞壁を病理組織学的検査を実施して病気を確定診断します。

犬の含歯性嚢胞の治療

原因になっている埋伏歯を抜歯し、嚢胞壁上皮すべての切除を行います。一般的に歯と嚢胞壁を完全に除去することができれば根治する病気です。

症例紹介

口の中が腫れているとのことで来院されました。確認すると下顎の犬歯がなく、犬歯が本来ある場所の歯肉が腫れていました。

レントゲンを撮ると、下顎犬歯が埋伏しており、その歯を中心に嚢胞を形成していることがわかります。

 

切開をすると排液とともに埋伏していた犬歯が確認できました。

犬歯を抜歯し、嚢胞壁を切除したのち、吸収性の糸で縫合しました。吸収性の糸なので抜歯は必要ありません。左下顎切歯を支える骨も嚢胞により溶けていたため抜歯を行っています。

抜歯後のレントゲンです。赤矢印の歯も埋伏していたため抜歯をしています。

  

犬の含歯性嚢胞の予防

含歯性嚢胞は萌出障害によるものなので、幼い頃からの健診で歯列のチェックを病院で行い、足りない歯がある場合は去勢や避妊のタイミングで口腔内レントゲンを撮り、埋伏歯の有無を確認するようにします。

また、永久歯の萌出があまりにも不十分である場合は、去勢や避妊よりも前に麻酔をかけてレントゲンで埋伏歯の確認をし、必要であれば歯肉切除により萌出を促してあげる処置を行なうといいでしょう。

 

いずれにせよ日々の健診が必要になりますので、幼い頃は定期的に健診のための受診をするようにしましょう!

 

 

なぐら動物病院 獣医師 安部昌平

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